透明なリュックサック
問題文
夏の夜、涼しい風が吹き抜け、大人たちの楽しげな話し声が聞こえていました。
彼女は光る水辺にぽつんと腰掛け、ただ水面を見つめていました。
母親が何度呼びかけても返事をせず、ふらりと立ち上がったかと思うと、そのまま激しく地面に倒れ込みました。
水底に潜む暗い深淵が、彼女の体から数メートルもの「柔らかい命」を強引に引き抜いたことに、その時は誰も気づかなかったのです。
数ヶ月後、彼女は友達のもとへ戻ってきました。
背中には、彼女の命を繋ぐ「透明なリュック」を背負って、優しく微笑んでいました。
やがて、彼女は静かに目を閉じました。
彼女が旅立った後、世界中に潜むすべての深淵には、重い鉄格子が嵌められることになりました。
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