魔除けの仏像
問題文
新居の魔除けにと、ネットの裏オークションで『不動明王の百鬼調伏像』という一品物の陶器を大金で落札した。
初めて届いた木箱を開けると、中には精巧に作られた百体もの小さな『鬼』の置物がぎっしりと詰まっていたが、肝心の中心で鬼たちを睨みつけるはずの『不動明王』の姿だけがなく、赤い泥の塊が転がっているだけだった。
私は激怒し、作者の陶芸家に詐欺だと怒鳴り散らして作り直しを要求した。
半月後、再び木箱が届いた。
今度は、確かに巨大な不動明王の像が中心にそびえ立っていた。サイズは想定の倍近くあり、塗られた赤い釉薬は触ると熱を帯びているかのように妖しく光っていた。
しかし、今度はあの百体の鬼の置物が、どこを探しても一体も入っていなかったのだ。
不審に思って仏像に顔を近づけると、不動明王の大きく膨らんだ腹部の中に、苦悶に歪む百匹の鬼の顔が浮かび上がっており、釉薬の流れに合わせてゆっくりと蠢いているように見えた。
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