家主の寵愛
問題文
昭和の面影が残る名門・八神家の離れで、若き後妻・沙織が冷たくなっているのが見つかった。
首にはくっきりと絞められた痕があり、傍らには八神家の専属ボディーガードが身につける、ちぎれたネクタイが落ちていた。
最近、沙織とそのボディーガードが密会しているという噂が流れていた。
また、沙織の異母妹も、事件の数時間前に離れの近くで目撃されている。
さらに、本家の正妻もその日の昼、沙織を呼び出して一時間以上も話し込んでいたという。
密室となった離れには争った形跡すらなく、悲鳴を聞いた者もいなかった。
沙織は息を引き取る間際、ある「紫色のちりめん布」に包まれた「玉の根付」を握りしめ、「まさか、あなたを信じてしまうなんて……」と静かに涙を流したという。
そのちりめん布は、家主である夫・宗一郎が彼女に贈った、彼しか使わない特注の品だった。
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