黒い布の鏡
問題文
警視庁のベテラン警部・荒木は、ここ数ヶ月、深夜になると決まって一人で地下の資料庫へと向かっていた。
部屋から出てきた彼は、いつも黒い布で覆われた姿見に向かって、何事かを激しい口調で囁いていたという。
ある雨の夜、荒木は資料庫の床で事切れているのが発見された。
死因は心不全。彼の右手には、20年前にとある事件で殉職したはずの同僚『吉岡』の、錆びついた警察手帳が固く握りしめられていた。
さらに奇妙なことに、司法解剖の結果、彼の胃の中は数日間何も口にしていないかのように、不自然なほど空っぽだった。
前日の昼、同僚たちの目の前で、大盛りのカツ丼を完食したはずの彼だったが――。
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