湿った薪
問題文
雪深い山奥に建つ洋館。私はリフォーム図面を広げ、暖房効率を高めるために蛇行させた温風管の設計を、年老いた執事に自慢げに説明していた。
しかし、執事の冷たい指先は、裏庭の古井戸から地下のボイラー室へと直通する、不自然なほど太くまっすぐな排熱ダクトのところで止まった。
「暖かさよりも、滞りなく流れることの方が重要な場合もございます」
彼は無表情のまま、暗いボイラーの燃焼口を見つめて呟いた。
「あそこはたまに、口を利かなくなった『湿った薪』を飲み込みますからね。途中で引っかかっては、主人の安眠を妨げてしまいます」
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