明日がいらない君へ
問題文
庭には眩しい夏の陽光が降り注ぎ、蝉の声が騒がしく響いている。
「お姉ちゃん、今日の絵日記、何を書けばいい? ずっとここに寝たままだから、新学期に間に合わないよ」
薄暗い部屋で、厚い布団にくるまった病気の弟が、私が運んだ温かいスープを飲み干し、不安そうに尋ねてくる。
「大丈夫よ、急がなくていいの」
私は弟の首元までしっかりと布団をかけ直し、優しく微笑みかけた。
「ミコガミ様にお祈りすれば、この夏休みは永遠に終わらないから」
満足そうに目を閉じる弟を見て、愛おしさがこみ上げてくる。
部屋を出て、廊下の鏡で身だしなみを整える。
「それにしても、最近蚊が多くて困るわ。もう何十箇所も刺されてる」
痒む首元を少し掻きむしり、壁のカレンダーを一枚破り捨てた。
破られた紙の裏から現れた真新しい1ページには、こう記されている。
――8月1日。夏休みが始まる、最初の日だ。
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